仙川平和公園
(東京都三鷹市/被爆アオギリ2世・アンネのバラ)
東京都内で、平和祈念像と被爆樹木と平和の花を
一度にみることができる貴重な公園があります。
JR三鷹駅からバスで約15分、仙川をはさんでひろがるしずかな公園です。
入り口では桜の木が出迎えてくれます。
根元の碑文には、三鷹市の条例が刻まれています。
「私たちは、平和を愛する心の輪を世界に広げ、人々が共に生き、手をつなぎ、
助け合う社会を築くため、草の根の広がりのある平和を進めます」という一節が印象的です。
桜の木の奥に守られるようにして、被爆地の長崎平和公園のものを原型とした
平和祈念像がたたずんでいます。
長崎の平和の像を制作した彫刻家・北村西望氏のアトリエが武蔵野市にあり、
三鷹市とも交流のあったことから、1989年、
三鷹100周年の記念事業のひとつとして建立されたものだそうです。
銘板には「この像には、市民一人ひとりの平和へのおもいが託されています」と、
市民の募金活動で実現した経緯が記されています。
平和祈念像のとなりには、2016年に植樹された広島の被爆樹木2世のアオギリがあります。
被爆樹木は、1945年8月の原子爆弾の熱を浴びて傷つきながらも、戦後に再び芽吹いた木です。
「75年は草木も生えない」と言われた街で、被爆樹木は再生と希望のシンボルになり、
やがて平和のメッセージを託されて、2世の苗木が各地に植えられるようになりました。
この木は、爆心地から1300メートルの広島逓信局の中庭で被爆しながらも芽を吹き返し、
平和記念公園に移植された木の種から発芽した2世のひとつです。
反対側には、「世界の平和はみんなの願い」という名前の花壇があり、
「アンネのバラ」もみられます。
ナチスの迫害を受けて隠れ家で暮らし、強制収容所で亡くなった少女アンネ・フランク。
彼女の残した日記に感銘を受けて作り出され、
「スブニール・ドゥ・アンネ・フランク」(アンネの形見)と名付けられたバラです。
アンネの父オットー・フランク氏が、戦後に寄贈したひとつが、
三鷹市の高山小学校でも花開き、1993年にここに分けて植られたそうです。
手から手へと、大切に守られてきたことがうかがわれます。
このバラのつぼみは赤く、花は橙から薄紅に変わります。
2023年11月の撮影当時は、このように橙と薄紅色の花が咲いていました。
赤いつぼみがみられたときは、追加でアップします。
この花壇には、昭和20年5月25日の空襲で焼け残ったプラタナスと、
ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング氏が植樹したさくらも植えられています。
川の両岸には桜が植えられ、となりの丸池公園までつづく桜並木を楽しむことができます。
丸池公園にはブランコやすべり台などの遊具があり、
子どもといっしょのお花見・お出かけスポットとしてもおすすめの公園です。
Information
Address
東京都三鷹市新川6丁目7
Access
●JR三鷹駅から
小田急バス「鷹55」系統(野ヶ谷行き)で「南新川」下車
または「鷹54」系統(昇華学園東行き)で「三鷹中等教育学校」下車すぐ
●京王線仙川駅から
徒歩4分の仙川バス停より小田急バス「鷹54」系統(三鷹駅行き)
または「吉03」系統(吉祥寺駅中央口行き)に乗り、「三鷹中等教育学校」下車すぐ